これからの試験の捉え方

 たとえば、 


 「犬が猫にかみつかれている光景を見て、彼は思わず吹き出してしまった」


 という一文があったとします。 


 そして、設問で


 「なぜ、彼は吹き出したのですか?」 


 と問われたとします。 



 あなたはどのように答えますか? 




 ほとんどの生徒たちが、 「犬が猫にかみつかれていたから」 と答えます。 


 これは正解か? 試験では、減点ですね。 


 では、 「犬が猫にかみつかれている光景を彼は見たから。」 


 これなら正解か? 残念ながらこれも、試験では、減点ですね。


 では、どのように解答すればいいのか。 

 私の生徒たちならわかるかしら? 



 これでは、「吹き出した」ことに対する根拠が曖昧です。 


 「彼が吹き出す」という行動に至るに 充分な「理由」が欲しい訳です。 


 文章には前後があり、流れがあるため、 本文すべてを読んだ人ならば、わかるかもしれませんね。


 でも、設問に対する答えは、常に本文を読んでいない人にも 伝わる解答でなければならない。


 伝わる解答でなければならない。 


 その意味で、上記の二つは、「伝わりにくい」解答です。 


 なぜ?犬か猫にかみつかれていることが、吹き出すにつながるの? 

 むしろ、犬が猫にかみつかれていたら、かわいそうだと 眉をひそめる人もいるかもしれない。


 だから、「犬が猫にかみつかれている」→「吹き出す」 は、説得力に欠けます。


 まず、吹き出すのは、「面白いとき」「笑いがおさえきれないとき」


 つまり、吹き出すは、人の感情を表す言葉です。 



 そう、彼は犬が猫にかみつかれている光景に「面白さ」を感じたから、 吹き出したわけですね。


 そこまで言ってはじめて、「きちんと伝わる」解答になります。


 つまり、この解答は 犬が猫にかみつかれている光景を彼は面白いと感じたから。

 が答え。


 試験を、知識のお披露目会と捉えていたら痛い目をみます。


 試験は、テスト作成者との「対話」です。 設問者との「対話」です。


 常に柔軟に、汎用的に、「相手に伝える」ことを意識しなければ、 
 これからの試験は乗り越えられません。